ピリカ ショートストーリー #7
随分ブログを放置してしまいました(´ヮ`;)
今日は【海の日】でしたね!
どこかへ遊びに行かれましたか?
今海に流出するプラスチックゴミが問題になっています。
私も今朝近くの川沿いのゴミ拾いをしてきました。
ペットボトル、空き缶、タバコ、BBQの残骸……
拾うだけじゃなくて、後々は捨てたらあかんねんでーってのを伝えていけたらなぁって思います。
そういう思いを込めて、色んな視点からショートストーリーを書いています(*^^*)
これは何年か前にピリカで『#海の日ピリカ』と言って、海の日に水辺のゴミを拾いましょう!っていうイベントがあった時のものです。
読んでもらえたら嬉しいです( ´ ▽ ` )ノ
【浜辺の拾得物】
俺は毎朝、砂浜のゴミ拾いをしてる。
なんぼ拾てもきりがないけど、拾わへんとそれはそれで大変な事になる。
──あれ?防波堤に女の子。
見かけへん子やな?
目が合うと女の子はいきなり大声で叫んできた。
「ねぇ!何で拾ってんの!?ただのゴミじゃんっ!
きったねーの!」
………言葉使いからしてこの辺の子やないな。
「どっから来たん?自分思てる程汚なないで?全部海で洗われとるし。」
ほら、と女の子のそばまで行って袋の中身を見せた。
近くまで行くとさっきまでの勢いはどこへやら。
「……あたしもゴミみたいに捨てられたんだ。
あたしは汚れてる。一緒にその袋に入れてよ。」
………これはなかなか問題ありそな子やな。
「あんな?もともとこれはゴミや無かったんやで?
これを持ってた人がいらんようになって、ホイって捨てられて、初めてゴミになってしまったんや。
せやけど人はちゃうで?意志がある。捨てられても自分で必要とする人の元へ歩き出す事ができる。
俺が拾っているゴミ達は、どっかの町から流れ出て、波に揺られ、気ぃ付いたらここに辿り着いて来たんや。
このゴミ達かて、ちゃんとした所へキチンと捨てられとったら、必要とされる形へと生まれ変われるはずやったんや。
それやのに心無い人たちに、役目を終えた途端無造作に捨てられて、蹴られ、踏みつけられ、流されここに辿りついたんやで。
だから俺はこのゴミ達に「お疲れ様」いうて声かけながら拾ってやって、ちゃんとした形に生まれ変われるようにしてやんねや。」
我ながらえー事いうやん、とドヤ顔で女の子を見ると、その目からは大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちていた。
「あたし、アイツの事大好きだったんだ。
でも、アイツはあたしの事なんか、好きでも何でもなくて。どうせカラダ目的だったんだ。
わかってたけど、わかってたけど大好きだから全部許したんだ。
そしたら次の日からアイツはあたしに暴力をふるいだした。殴られ、蹴られ、踏みつけられ、捨てられたんだ。
もう、あだじのごどなんで、いだなくなっだんだ。
ゔぅ……あたじも生ばれ変ばれるどかな(´;ω;`)?」
「ちょっ!な、泣きなや💦」
首に巻いてたタオルを差し出すと、女の子はずずずーっ鼻をかんだ。
「そうかぁ。それは辛かったな。そんな男はリサイクル業者も引き取らへんわ。
自分は今日、俺が拾う事にする。
どんな風に生まれ変わって生きて行けるかの手助けをしたる。
自分には意志があるんや。そんな男スパッと切り捨てて、新しい自分に生まれ変わって、ほんまに必要とされる人の元へ歩いていくんや。
よし。ほいじゃあ……まずは………」
俺は袋と軍手を手渡した。
「はぁ!? 生まれ変われる手助けとか言って、ゴミ拾いの手助けさすだけじゃんよ!!」
そう言って俺に軍手を投げつけながら追いかけて来ようとして……………足元の何かに蹴躓いた。
「いったぁーい!……あ! あった!ほら!ペットボトル!!」
「お!もう見つけたんかいな!なかなかえぇ筋しとるわ♪」
「ペットボトル君、お疲れ様。お前も辛い目にあったんだな? よし、あたしが生まれ変わらせてあげる!」
女の子は笑顔でペットボトルを拾いあげ、高く高く掲げた。
───うん、心配あらへんな。
俺は案外えぇ「拾い物」をしたんかも。
女の子のピースサインと共に、煌めくペットボトルを一枚の写真におさめ、#海の日ピリカへと投稿した。