ピリカ ショートストーリー #4


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『待ち合わせ』

 

 

男は有名商社に勤めるエリート。
全身高級ブランド品で固めた男前。
週末はいつも仕事が終わると彼女と公園で落ち合う。

「ごめんね待った?」
「いいや、全然」

「ごめーん!仕事が終わらなくて」
「大丈夫、ちょうど着いたところ。」

「お待たせ、寒かったでしょ?」
「ううん、君を待つ時間も幸せだから。」

いつも優しい笑顔で男は微笑んでくれる。

「ん…………………。ありがと」

彼女も微笑み返し、

そして視線を落とす。

 

ある夜男は、彼女に結婚を申し込んだ。

 

「君を幸せにする。一生ついてきてくれないか?」

 

 

「………ごめんなさい」

そう言うと男の足元の吸い殻をそっと拾い上げた。

 

彼女は待ち合わせ場所でイライラする男をいつも遠くから見ていたのだ。

 

禁煙場所にも関わらずプカプカタバコをふかし、イライラしながら何度も時計に目をやり、おっせーな💢とタバコを足元に投げ捨て、ぐりぐりと踏み消す。
飲みかけの缶コーヒーも植え込みにほおり投げ、散歩で通りかかった犬にも唾をはく。

 

「モラルのない人とは結婚できない。それに…………他に好きな人が出来たから。」

 

そう言って彼女は、黙々とトングで吸い殻を拾う笑顔の素敵な男の元へ走っていったのだった。

 

「あぁあ。ポイ捨てされちまった……」

男前は肩を落として帰っていく。

 

そのズボンには誰かが吐き捨てたガムがベットリついていた。

 

 

****おしまい****

 

今日もお付き合いありがとうございました(*^^*)